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■スヴェトラーノフのお墓を訪ねる

2002年の11月にモスクワに行きました。そしてスヴェトラーノフのお墓参りを行ってきました。
これはその時のレポートです。

スヴェトラーノフのお墓はモスクワ市内の北西部にある「バガンコフスコエ墓地」にある。そこは東京で言えば青山墓
地といった感じの大型墓地だそうである。

最寄の地下鉄駅は6号線の「ウーリッツァ1905ゴーダ」駅。ただし、駅から少し歩くし、そこからの行き方がちょっと分
かりづらいので、タクシーを使用した方が良いだろう（市内からなら、200ルーブル（約800円））

地下鉄の駅から、地上に出ると、花売りのおばさんたちがずらっと寒い中並んでいた。墓地に行く人たちをターゲット
にしているだろう。

マンション（といっても、日本の公団のような感じで、古く汚い）群の間の一本道を歩いていくと、次第に花屋が増え、
そして教会が見える。

地下鉄の駅から10分強歩いたここが
「バガンコフスコエ墓地」である。
入り口付近に教会があり、その奥に
多くのお墓が広がってる。この墓地は
ロシアでも著名人が多く眠っている墓
地だそうで、確かに教会の周りには、
大きめで豪華な墓がいくつも並んでい
た。

教会からそれほど離れていない場所に、スヴェトラーノフの墓があった。
「2002年5月3日逝去」。たしかにスヴェトラーノフの墓である。その墓は墓地のメイン通りのすぐ横に作られていた。
奥の方はもうスペースがないのだろう。しかたないので道をつぶしながら、新しい墓を増設しているらしい。
　　　　

スヴェトラーノフの墓はあの大指揮者、ロシアの英雄
の墓にしては、ものすごく質素である。簡単な木の
十字架が立っているだけである。隣の若い女性の墓
には黄金の天使の像が立って光り輝いているのとは
対照的である。
しかしそれは、自分の感性を信じ、自分の音楽、芸術
のみに生きていたスヴェトラーノフらしい墓と言えるの
かもしれない。

スヴェトラーノフの墓の前に立つ。
墓の前に立つといろんな思いが浮かんできた。あれだけの音楽で我々を感動させてくれた他には誰も代わりがいな
い偉人の墓を前に、そんな偉人に惚れ込み、極東の地の果てからここまでやってきたことに言葉にならない感慨が
浮かんできた。
空はどんよりと鉛色。キーンと冷え込んだ空気、そして少しばかり雪がちらついてきた。墓の周りに立つ木々の間から
眺める鉛色のモスクワの空に舞う雪を見ていると、「ああ、自分は自分の惚れ込んだ偉人のためにこんな遠くまで来
たんだ」というなんともいえない感慨がこみ上げてきた。